献血という貢献もある (2011/4/17)

 江南市の看護師仙田八千代さん(47)は、被災者のために何ができるのかをずっと考えていた。登録していた災害支援ナースの本部から「災害地へ行ってくれませんか」と要請があった。「ぜひ」とは思ったが、勤務先の仕事がありどうしてもかなわない。日々、何もできないもどかしさが募っていた。

 そんな時。人づてに歌手の松山千春さんの言葉を耳にした。「お金のある人はお金を出せばいい。力のある人は力を出せばいい。知恵のある人は知恵を出せばいい。勇気のある人は勇気を出せばいい。何もない人は元気を出せばいい」。仙田さんはハッとしたという。そういえば、つい先日、赤十字で献血をした。おかげさまで健康。健康だから献血ができることに気付いた。

 その際、腕をまくると看護師さんに言われた。「いい血管してますね」。ちょっと生々しい言葉のようだが、ものすごくうれしかったという。自分も毎日患者さんに針を刺すのが仕事。痛くないようにしてあげたい。でも、血管の細い人もいる。そんな時には、いったんゴムを緩める。一呼吸して心の中で「落ち着いて」とつぶやき、いま一度ゴムを縛りなおす。「今までで一番痛くなかったよ」と言われると何よりうれしい。だから献血の看護師さんの言葉の真意がわかるのだ。

 被災地の方たちのつらさに比べたら、針の痛みなど小さなものだとあらためて体感できた。「恒常的に血液は不足しています。特に災害時は。血液在庫の状況は日々変わるので赤十字への照会が必要ですが、健康な人は献血で貢献という方法もあります」と仙田さん。