大丈夫、大丈夫 (2011/5/15)

 昨年の3月、田原市の看護師・鈴木朱美さん(30)は男の子を授かった。ところが、生後まもなく、ダウン症で心臓にも病気があることがわかった。ショックだった。鈴木さんの母親が涙する姿を見て、親不孝をしているような気になった。保育園では病名を聞き入園を断られた。グループレッスンのピアノ教室でも。「もう次の春を心待ちにすることはないかも」と落ち込んだ。

 そんな時だ。友人がお見舞いに来てくれた。一緒に泣いた。泣いたことで心が楽になった。通院にはタクシーを利用するしかない。それを知った長男の幼稚園のお母さんたち5人が、交代で送り迎えをしてくれた。何よりその車中でのなにげない会話で心が和んだ。「忙しいでしょ」と体を気遣ってお弁当を作ってくれた人もいた。断られるのを覚悟で行った託児所で、保育士さんに「大丈夫よ、他の子と変わらないわ」と優しい声を掛けられ、受けていただいた。

 名古屋の実家の父親は、治療のための入院中、上の子2人を泊まり込みで世話をしに来てくれた。夫には病気の子どもを産んだことで責められるのではないかと思っていた。ところが「大丈夫、大丈夫。しょうがないじゃん。おまえの体が大事だから早く良くなってね」と励ましてくれた。6歳の長男と3歳の長女は「赤ちゃんかわいいー」と言い、だっこしたり絵本を読んでくれたりしている。気が付くとまた春になっていた。「人は一人じゃない。みんなに支えられているんだ。今は、感動を与えてくれた赤ちゃんに感謝しています」と鈴木さんは言う。