あぜ道の四葉のクローバー (2011/8/28)

 西尾市の禰宜田緑さん(70)のご主人は、毎朝5時45分になるとウオーキングに出掛ける。もう6、7年前からの日課だ。ところが、4月末ごろから帰りが遅くなる。最初の年は「何かあったのでは」と心配になった。そのうち事情がわかった。田んぼや畑のあぜ道で四葉のクローバーを探していたのだ。

 「今朝はこんなに見つかった」とうれしそうに帰ってくる。多い日は40も50も見つかることがある。しかし、一つも見つけられない日も多い。以前、たくさんあった場所に行くと、田植えの作業が始まっていて機械で踏みつけられて無くなっていたりするからだ。家に戻ると、電話帳にはさむ。乾いたクローバーを、自分で購入した機械でラミネートにする。ちょうど本のしおりにぴったりの大きさだ。

 ご主人は通院している病院にまとめて持って行く。院長先生に「患者さんたちに差し上げてください。早く元気になって明るく暮らせますように」と言って手渡す。親戚や友人・知人にも「幸せを」と言って渡す。緑さんも「主人の趣味なのでどうぞ遠慮なく」とプレゼントすると「幸せをもらってもいいのかね」と喜んでくれるという。

 家電量販店へラミネートのフィルムを買いに出掛けたときのこと。売り場が広くて場所がわからない。若い女性店員さんに尋ねると、案内してくれた。その人にも渡すと喜んでくれた。「ささやかな趣味ですが主人を尊敬しています。健康で続けられる限り応援していきます」と緑さん。今年は150枚ほどを配ったという。