29「自分のすぐそばにいる人の悩みとか苦しみが見えない勉強なんて何の意味があるのか」松崎運之助著「母の色えんぴつ」北水・刊

 勉強というと、知識を覚えるということと捉えがちです。実際に、学校の成績は、たくさん暗記した人が良い点数をもらえます。だから、暗記をたくさんした人が、良い学校へ進学します。でも、大人になるに従って、知識以外の勉強の意味に気づいてきます。心の勉強ですね。これはすぐに答の出るものではなくて、一生続く勉強です。その答も一つではありません。そして、世の中で最も大切なものの一つが、「思いやり」であることに気づきます。

 松崎さんは、夜間中学の先生をしておられます。そこには、さまざまな理由で義務教育を受けられなかった人たちが通ってきます。年齢や職業、国籍もいろいろ。そこで出会った人たちから松崎さんは人間として大切なことを学んだそうです。そのエピソードは、山田洋次監督の「学校」という映画で紹介されました。