コバショでビブリオ!

「コバショでビブリオ!」

猫の額のようなわずか10坪の小林書店だが、いろいろな催しをやっている。講演会、サイン会、ワークショップ…最近では高座まで作って落語会もはじめた。そんな中でも、最も力を入れて長く続けているのが「知的書評合戦」とも呼ばれている「ビブリオバトル」だ。
要するに読書会なのだが、「本の紹介ゲーム」と言った方がふさわしいかもしれない。2007年に京都大学から始まって以来、「人を通して本を知る、本を通して人を知る」をキャッチコピーに、全国小・中・高・大学や図書館、公民館、書店などで開催され、企業の研修にも取り入れられている。
その出会いは6年ほど前のことだった。市役所に勤めるというEさんが尋ねて来られ、「自分は趣味でビブリオバトルの普及委員というのをしていますが、小林書店でビブリオバトルしませんか?」と言う。「え?・・・何ですかそれ?」と、その名前さえ知らなかったわたしは、Eさんから説明を聞いて早速、ビブリオバトルなるものに何回か参加してみた。
ルールは簡単。参加者は、一人5分の持ち時間で自分のオススメの本について「聴く人が読みたくなる」ように説明する。それを聞いた人が、発表者に質問をする。本が好きな人は多いが、ついついそのジャンルや作家に偏りができてしまうものだ。それがまったく興味のなかった本の魅力を聴かされ、前のめりになる。「これはおもしろい!」。うちの店がやるにふさわしいゲームだと思った。となると、居ても立ってもいられない。
Eさんに司会進行とチラシ作りを引き受けてくれた。親しいお客さんや知り合いには、会場の設営や片付けをすると手を挙げてくれた。我が町には「店づくりは町づくり」と思っている熱い心の人たちが大勢いる。どんなことでも自分でしないと気が済まない性分だった。それが全部一人でするよりも、みんなで一緒に会を作ることがどれほど楽しいかという事を学んだ。
前回からは、本の紹介の他に、参加者が自由に使える時間(15分間)を設けた。第一回は、絵本セラピストさんによる「大人への読みきかせ」だった。次回は「大人への手作り紙芝居」の予定だ。2ヶ月に1度、土曜日の開催。もう5年が経つ。コロナ禍以前は、会の終わると自然な流れでみんなでお茶をした。ほとんどの人が残ってオシャベリをする。そこで知らない人同士が仲良くなることもある。それこそ「本との出会い」が「人との出会い」を呼んだ。きっともうすぐ、そんな日常ももどってくると信じている。
コバショでビブリオ!もしお時間のある方は、お出掛けください。