小林書店、みんなでベンチを作る

「小林書店、みんなでベンチを作る」

2年前のことだった。「1階づくりは街づくり」を提唱する田中元子さんを招いての講演会をうちのお店で企画した。田中さんは、商店の一階の扉を開け放して街に賑わいを作ろう、という町おこしのプロだ。街づくりを実践する地域の人たちの応援を得て参加者を募った。
ところが、開催日の数日前に、主人が脳梗塞で倒れた。生きた心地がせず、右往左往。迷いはしたものの開催することに決めた。10坪しかない店内に50名がギューギュー詰め。地元を元気にしたいという人達の熱気でムンムン。その関心の広さに主催者のわたしの方が感動した。
「路面店は商品をただ売るだけではなく、その地域の人が自由に出入りできるコミュニティの場所であるべき」という話にわたしも娘も共感した。講演終了後、娘から提案された。店の角のシャッター内にベンチを作ろうというのだ。ごく狭いスペースだ。素人ながらも、至難と思った。知り合いの材木屋さんに相談すると、こう言われた。「自分が作ると、お金がかかる。みんなで作るねんで!」と。それはいい。早速、フェイスブックで「一緒にベンチを作りませんか」と呼びかけると、たちまち12、3人が「行きます!」と返事をくれた。
お盆休み。集まった老若男女が、汗をふきふき、トントンカンカン。子供だからと、「危ないから見とき」と言わず、優先して道具を持たせた。ついつい手を出したくなるのを堪える。もちろん、大人が作った方が早い。でも、真剣に電気ドリルを持ってがんばる子を根気よくみんなで見守る。ひとつできたら、大人たちが歓声をあげて喜ぶ。汗だくの子供たちの笑顔から、達成した喜びが伝わってきた。
「みんな、ありがとう・・・」。わたしは泣きそうになった。こうして、すばらしいベンチが完成。さらに、移動式の折りたたみ机も作った。小林書店の角に置かれたベンチと机は、みんなの希望の象徴なのである。
「小林書店へいらっしゃい!尼崎の立花へいらしゃい!!」

ここに掲載されている、ベンチにみんなで座っている写真を掲載してはどうでしょうか。もうホームページででるので、顔も問題ないかなと。

https://amagasaki.mypl.net/shop/00000359157/menu#