仕事で大切なことはすべて尼崎の小さな本屋で学んだ

「仕事で大切なことはすべて尼崎の小さな本屋で学んだ」

恥ずかしくもあり、嬉しくもあり。2020年12月15日、わたしが関わった本が出版されました。ライターの川上徹也さんがあろうことかわたしのことを、フィクションの中に実名で書いてくださったのです。川上さんとの出逢いは8年前に遡ります。別の取材でお目にかかり、話に花が咲き、気がつくと3時間がたっていました。
帰り際のとこです。「この企画とは別に、小林さんのことを1冊の本にしたい」と言われました。その時は、話の勢いのことと、冗談半分に受け止めていたのです。それが時を経て4年前にプロジェクトが立ち上がりました。なんでも「小説のスタイルにしたい」とのこと。半信半疑の中、何度も取材でお目にかかりました。しかし、なかなか実現しません。
小林書店は、小さな小さな町の本屋さんです。そんなお店のおばちゃん店長の話を、ノンフィクションとしてそのまま書いても売れるはずがありません。そこで、さまざまな職業の人たちに読んでもらえるために、「物語」にすることが必要だったのです。川上さんは、ビジネス書や自己啓発本のライターさんです。慣れない仕事に、とても苦労されているようでした。
妥協せず、大勢の人の心に届くようにするためには、「読みやすさ」が肝心です。そのため、苦心に苦心を重ねて何度も手が止まったとお聞きしました。四年の時を経て、ついに完成!「仕事で大切なことはすべて尼崎の小さな本屋で学んだ」(ポプラ社刊)は。こうして生まれました。
あまりにあまりなタイトル・・・「それは止めて~」と抵抗しましたが、「こういう本は書名だけで内容がわかるほうがいいのですよ」と、編集者と著者に押しきられてしました。
気づくと、初めて川上さんにお目にかかった日から、8年が経っていました。この8年という歳月には意味がある。このコロナ禍の中の「今」発売されたということ。悩んでいる人、困っている人、元気のない人を勇気づけられたら。この8年を思い返し、「今」が最良の時に違いないと思いました。
小林書店は吹けば飛ぶような「小さな」お店です。でも、その反面、「小」だからこそが持つ「自由」があります。「ダメで元々、ダメならやり直せばいい」という自由な発想で走ってきました。一人でできたことなど一つもありません。いつもいつも、大勢の人たちに支えられての自分がありました。
ゆえに、これからも奢ることなくの身を引き締めて生きなければと、思っています。大好きな本を、みなさんにお届けするために。