みんなが先生、誰もが生徒

「みんなが先生、誰もが生徒」

尼崎市では、「みんなのサマーセミナー」という大イベントが開催している。毎年、夏休み中の2日間、市内の学校を借りて 老若男女誰もが自分の好きなことや得意なジャンルで「先生」になり、誰でもその授業を受けることができるという試みだ。予約の必要もなく、ふらりと参加できるのがいい。主催は市だが、運営はほぼ市民ボランティアによる実行委員会が行っている。
3年ぶりのリアル開催となった今年は、250名もの「先生」が登壇した。1日5時限で2日間。各時限に25の教室を作らねばならない。細かい時間割りを見ながら、来校者は迷う。「どの授業を受けようか」と。例えば、こんな科目がある。「外反母趾治るかもしれない」、「アウトドア講座(キャンプ・登山)」、「むかしの尼崎市のうたいろいろ」、「老人ホーム探し相談」・・・等々。給食の時間も楽しみだ。食堂には地元のパン屋さんやお弁当屋さんが出張販売に来ている。
わたしも、関西在住の作家さんと一緒に「きっとあなたも好きになる尼崎立花町の魅力」と題して教壇に立った。何人受講してくれるか不安で仕方がなかったが、何と40名参加、満席となった。
終了後には、「来たときよりもきれいにして学校を返しましょう」の合い言葉のもと、清掃の合図が鳴ると実行委員の人たちにもちろん参加者たちも一斉に掃除をはじめる。なんともその動作が自然なのだ、和気藹々と楽しんでいる。他市で開催していたものを参考にして始めたものだが、今では全国から見学に来られる。
偶然、高知県から見学に来たという女性参加者と話をする機会に恵まれた。高知大学医学部で助教授をしているという。「うちの地元でもやりたくなりました」と言われ、郷土愛の強いわたしはうれしくなった。
人は「得意とすること」「他人に話したいこと」「一緒に体験したいこと」を、必ずと言っていいほど持っているものだ。身近な所で、聴いてくれる人たちに「教えて」みることができたら、そして敷居を低くして「聴いてみる」ことができたら、知らず知らずのうちにコミュニケーションが生まれ、地域が豊かになると思う。歳を重ねるごとに、「尼崎っていい街だなあ」とますます愛せるようになれて、幸せだ♪