リラックスしたい!

⑨リラックスしたい!

ヒノキには、防カビ、防ダニ、抗菌、防臭など様々な効果があることが知られています。また、リラックス効果もあると聞いていましたが、なかなか森林浴にはでかけられないのが現実です。
さて、新聞のこんな記事に目が留まりました。「森の香り 事故防止」という見出しです。大同工業大学の鈴木桂輔助教授と自動車部品メーカーのデンソーが、ヒノキに含まれる香り成分「アルファピネン」を使って実験したところ、運転中のドライバーに疲労軽減や反応速度のアップなどの効果が証明されたというのです。
車内で「アルファピネン」をかがせたところ、追突事故を避ける反応が2倍以上速くなり、疲労時の脈の乱れも減ったといいます。近い将来、自動車に装着が義務付けられるかもしれません。
ここで、ふと思いました。そんなにあれもこれも効果があるなら、いっそのこと総ヒノキ造りの家に住んだら、健康な生活ができるんじゃないかな、と。木曾屋柴蔵こと柴原薫さんに聞いたところ、「それはそうだけど、簡単にはいかないのですよ」と言われてしまいました。
というのは、家を造るには、一般的に合成の接着剤や塗料を使います。これらの多くは石油から作った化学製品です。シックハウスの原因になるものですね。例え総ヒノキ造りの家を建てたとしても、この化学製品を使ってしまってはヒノキの効果も薄れてしまう。
もし、ちゃんと健康のことを考えた家を建てたいのなら、接着剤を日本古来の「にかわ」を使ったり、釘の代わりにダボ(木くぎ)を使う必要がある。そうすれば、完全ではないかもしれないがアトピーやアレルギーにも安心な家ができるといいます。でも・・・それにはコストがかかり、かつ、床磨きなどの住んでからの手入れが必要になるのです。
それは、江戸時代には当り前のことだったのですが、一度「便利」や「安価」というものを手に入れてしまうと、なかなか逆戻りできないようです。それがたとえ健康を害することであっても。
柴原さんは続けます。
「正直に言うと、ヒノキというのは時間が経つと香りが飛んで消えてしまうのです。ヒノキで名刺やハガキを作ると、薄い分早く匂わなくなります。家も同じです。ただ、家の場合、そのスピードか遅いのですね。30年経っても、ヒノキの家を訪ねた人は『あ!いい匂いがする』と声を上げます。もっとも、そこに長年すんでいる人は、慣れてしまって気づかないようですがね」