「新月の木」を知ってますか?

④「新月の木」を知ってますか?

ある冬の日のことです。木曾屋柴蔵さんと話をしていたら、
「明日は新月ですね・・・」
と言うのです。
「それがどうかしたの!?」
と首を傾げました。新月とは満月の反対ということくらいしか知識がありません。新月の夜は真っ暗だから、足元に注意しなくちゃいけないと幼い頃に教えられました。とはいっても、今どき町中では真夜中でもコンビニの灯りが煌々と輝き、新月も満月も生活には関係ありませんが。
驚きました。真冬の新月の日に切り出した木は、腐りにくくて丈夫だというのです。だから、特別に「いい家に住みたい」という人には、新月の木の家を建ててあげたいのだと。
それも、単なる木こりの言い伝えや迷信ではなく、科学的な根拠があるのだそうです。寒い時期の、それも新月の日には、木は水分や栄養分を根元から吸い上げません。つまり、木の中には、水分やでんぷん質が希薄になるわけです。すると、その状態で切り出した木には、栄養分を求めてやってくるカビや害虫が生きていけなくなります。
カビが生えにくく、虫も付きにくい。ゆえに、防虫剤や防腐剤を使わなくても、腐りにくく長持ちする木になるわけです。
新月の木のことは、たまたま科学的な証明がなされています。でも、自然界には、まだまだ不思議なことがいっぱいあります。よく、満潮のときに臨月の妊婦さんが陣痛になり、出産すると言います。また、満月の晩には、犯罪が多発するというアメリカの警察のデータを聞いたことがあります。人間も動物や植物と同じ生き物です。地球、いや無限の宇宙の中にいて、人間だけが特別な存在だと思うのは、人間の奢りでしょう。
人間は木と共生し、木をより良く活用し続けた経験から、「新月の木」を学んだのでしょう。あらゆる生物の一員として。