高野登さん「忘れてきたコンサートチケット」

「ザ・リッツ・カールトン・ホテルの

心に届く『おもてなし』」

 

         〇 高野登さんが、ザ・リッツ・カールトン・ホテルの日本支社長時代に、志賀内が編集長を務めていた月刊紙「プチ紳士からの手紙」に寄稿いただいたお話を紹介させていただきます。

 

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「忘れてきたコンサートチケット・・・一通のサンキュー・メールから」

 

           人とホスピタリティ研究所代表

高野登

               

 

週末、妻の高校時代の友人が我が家に遊びに来ました。彼女は名古屋に住んでおり、お気に入りの台湾アーティストのコンサートを観るために東京にやってきたのです。

 土曜日の午後、船橋在住のお姉さんと高校生の姪と一緒に、コンサート会場へ行く前に、六本木ミッドタウンへ出掛けました。リッツ・カールトン・ホテル東京のデリへ、ご主人へのホワイトデーのプレゼントを買いに行くためです。スタッフの女性からいろいろアドバイスを受けながら商品を選んだそうです。

 さて、いざ会計となったところで事件発覚。なんと楽しみにしていたコンサートのチケットが財布の中に見当たらないのです!土日2日間分のチケットを、名古屋の自宅に忘れてきてしまったのです。そのアーティストの熱狂的なファンであった彼女は、頭の中が真っ白になりました。そこで姉のアドバイスでコンサートの主催者に電話をしました。すると、「チケットのコピーがあれば、なんとかしましょう」とのこと。早速、名古屋にいるご主人の職場(自営)に電話をして、すぐに自宅に戻ってもらいチケットをファックスしてもらうことになりました。しかしどうやって受け取ったらよいのやら。その時です。会計も済ませないでレジの前で大騒ぎをしていた彼女たちを、一部始終を見ていたそのスタッフの女性が、「こちらのFAXを使ってください」と電話中の彼女にFAX番号を書いたメモをサッと手渡してくれたのでした。その上、FAXが来るまでの間、椅子席に案内してくださり、しかも3人にお茶まで出していただけたというのです。そして、さらに。そのお茶はとても気が落ち着くハーブティーでした。また、会場の国際フォーラムへの地図までも用意してくださいました。

 彼女は、リッツ・カールトンの宿泊客ではありません。お店にお菓子を買いにきた、単なる一顧客に過ぎません。その単価はしれています。それなのに、ここまでの気遣いをしてくださるリッツに感動してしまいした。そばで見ていた高校生の姪も、仕事を超えた温かな対応に心から感動していたそうです。

  そのスタッフの方のお名前は、荒木百合子さんとおっしゃいました。彼女はコンサートの後で荒木さんにお礼の電話をしたそうです。この素晴らしい応対を是非上司の方に伝えたいと言うので、私が代わりにメールで報告させていただきました。

 本当にありがとうございました。 私もぜひ荒木さんに会ってみたくなりました。  追記 

リッツで購入したホワイトデーのプレゼントの宅配が本日届き、その中には「わざわざのお礼の電話」に対するお礼状が同封されていたそうです。