情けは人のためならず (2006/8/4)

 夏休みになると、両親の故郷の海や山で過ごす子どもたちも多いだろう。学年の異なるいとこたちと遊ぶのは、刺激も多く思い出になる。一宮市の大森信子さん(58)から、夏休み恒例になっている家族行事についての便りが届いた。

 大森さんのお宅では正月、大型連休、盆と年に三回、児童養護施設から里親として幼い子どもを受け入れている。十八年目になった今年も、お盆休みには四歳の男の子二人がやってくる予定だ。特別な準備は何もしない。食事の献立も普段どおり。一緒に旅行に連れて行くこともある。

 施設で暮らす子どもたちの事情はさまざまだ。ただ共通点が一つ。どの子も決まって、やって来た二日間くらいは口数少なくおとなしい。「どんな人かな」と顔色をうかがっている。それが三日目ぐらいになると、大森さんのご主人の肩をふざけてたたいてみたりするようになる。それが家族の一員になった瞬間だ。

 みんな実にお行儀がいいそうだ。寝る前には、きちんと服を畳んで枕元に。食事の際には、食べ終わるまで席を離れることはない。この年ごろの子どもたちはやんちゃだ。おそらく施設で教えられているのだろうが、言われても守れない方が当たり前でもある。

 思わぬ収穫も。その様子を見て、お孫さんたちの行儀がよくなったというのだ。

 十年前に里子と一緒に遊んだ経験のあるおいやめいから、最近こんなことを言われたという。「おかげで自分の親と一緒に暮らせるという当たり前のことにも感謝できるようになった」と。まさしく、情けは人のためならず。今年もお孫さんたちが「いつ来るの」と言って楽しみにしているという。