嫌な言葉は袋の中へ (2006/12/10)

 一宮市浅井北小学校の校長先生、平林哲也さん(52)からのお便り。いじめの問題について「〇〇するな」という表現をせずに、子どもたちに伝える方法をずっと思案していたそうだ。そして、先日のこと。臨時集会で全校児童を前に、こんな話をしたという。

 「皆さんが人から言われて嫌だったり、人に言ってしまって傷つけたりしたと思う言葉を思い起こしてください。次に自分の口を両手で包みながら、その言葉を人に聞こえないように小声で言って、ギュッと握り締めてください」。その後、平林さんは大きな袋を取り出し「今、握り締めた嫌な言葉を回収します。思いっきり投げ込んでください」と、全校児童の間を回った。

 「これが、皆の心のトゲになっていたんだね。ずっしり重いよ」「二度とこの言葉が飛び出さないようにしよう」と言って、学校で一番の力持ちの先生に登場してもらい、きつく袋の口を縛ってもらった。「これでこの袋は二度と開きません。もちろんリサイクルにも出しませんよ」

 さて、今度は人から言われてうれしかったり、人に言って喜ばれたりした言葉を思い出してもらった。「口に出して教えてほしいな」と呼び掛けると、たくさんの手が挙がった。一人一人にマイクを向けて回る。心に染みる言葉の連続だった。最後に「人が喜ぶ言葉を使おう。ちょっとした親切な行動で、いじめのない学校になると思います。困ったり悩んだりしている人がいたら『大丈夫?』って声を掛けてあげてください。何かしてもらったら『ありがとう』、友達のいいところを見つけたら『すごい』って」と結んだという。

 他の学校や家庭でも参考になれば。