元旦の新聞のポリ袋 (2007/1/19)

 スポーツとは不思議なもので、自分がやらなくても見ているだけでも楽しめる。オリンピックも高校野球も、まるで自分のことのように応援してしまう。名古屋市守山区の大川孝次さん(71)から、今年の元旦の出来事を、お便りにしていただいた。

 いつもより朝早く目覚めてしまい、新聞が来るのを待っていた大川さん。やがて配達の人の気配がしたので玄関に出てみた。ポリ袋に入った新聞が届けられていた。元旦の新聞は、特に分厚い。広告も含めるとずしりと重い。長い時間をかけてじっくりと読んだ。

 ふと何げなしにごみ箱をのぞくと、先ほどのポリ袋が目に付いた。何か文字が書いてある。取り出して読んでみた。

 「走り、蹴(け)り、打ち、喜び、泣き、また笑う グラウンドを人生に見立てれば 選手の汗も自分の汗で 拍手にも自然に力が入ってしまう いろんな人達(ひとたち)が住むこの街を やっぱりひとつのグラウンドだから 一生懸命…」

 世の中の人全員がスポーツ選手ではない。でも、スポーツを見るとき、その選手を自分の人生に照らし合わせて応援していることがある。「頑張れ」と。

 大川さんの地区の新聞販売店さんに聞くと、ふだん雨の日に入れるポリ袋には、何種類かの規格品があって、たまたまその中の一つとのこと。お店のPRだが、大川さんは詩のようなこの文章が、なんだかいかにも元旦にふさわしい気がして、心が「ほろほろ」したという。

 そして、このポリ袋がお年玉のような気がして捨てるのが「かわいそう」で大切に取ってあるとか。ちなみに、大川さんの玄関の新聞受けにはこう張り紙がしてあるそうだ。「雨の日も風の日もいつも配達してくれてありがとう」