すてきな言葉探し (2007/2/4)

 阿久比町の千田喜代江さん(63)は、絵手紙教室に通っておられる。絵手紙というと絵はもちろんのことだが、そこに添える文字も大切になる。そこで千田さんは心に響くすてきな言葉を、日ごろから手帳に書きとめるようにしているそうだ。

 教室の仲間三人と名古屋駅のセルフサービスの喫茶店に入った際のこと。店内が込んでいて、サンドイッチとコーヒーを手に席を探していた。そのとき、三十代半ばのサラリーマンの男性が、千田さんたちに気が付いた。すかさず、いすに置いたかばんを手に取り「どうぞ」と言い、自分はカウンターの席へと移ってくれた。店を出るとき、お礼を言うと、にこやかな顔で一言。「楽しめましたか」。うれしくて早速手帳に書きとめた。

 また別の折、電車の中での話。若い女性がおじいさんに席を譲る場面に出合った。その女性は大きな荷物を持っていたので、おじいさんの足元に置かせてもらった。それがきっかけで、車中ずっと二人は会話をしていた。女性が先に降りるとき、おじいさんに言うのが聞こえた。「お気をつけて」。またまたメモした。

 千田さんは「スピードとか能率ばかりが重んじられる世の中だけど、心にゆとりがないと、こういう言葉はすっと口に出ない」「相手を思う気持ちを大事にしたい」とおっしゃる。

 「楽しめましたか」「お気をつけて」が、どんな絵に添えられるのか見てみたいという興味にかられた。いただいた封筒にも菜の花とネコヤナギの絵がサラサラッと描かれていた。脇に「小さな春みつけた」とあった。