お母さん先生 (2007/2/16)

 「ほろほろ通信」で紹介する読者からの投稿は、すべて本名と年齢を明記している。どのエピソードも「心温まるいい話」であることと、その話の信ぴょう性を高めるためだ。ただし今回に限り、その原則を曲げることにした。

 刈谷市の女子小学生Kさんから一通の便りが届いた。かわいいイラストの封筒を開けると、最初に「いじめ」という文字が目に飛び込んできた。その文面をできるだけ忠実にお伝えしたいと思う。

 Kさんの通う小学校には、いつもエプロンをしてニコニコと笑っている先生がいる。それでKさんは「お母さん先生」と呼んでいる。Kさんがいじめられていたとき、偶然お母さん先生が通り掛かった。ところが、いじめている子たちを怒らずに「早く教室に戻りなさい」とだけ言って、去って行ってしまった。Kさんは「なぜ、かばってくれないの」と思い、寂しくなった。

 次の日の放課後のこと。お母さん先生がKさんのクラスにやって来た。Kさんのところに座って、クイズを出して遊んでくれた。それが毎日続いた。すると、クラスのみんなもKさんの周りに来て、自分に話し掛けてくれるようになった。少しずつ学校が楽しくなってきた。

 しばらくして、お母さん先生に悩んでいることを全部話した。担任の先生が大好きだということや、友達のこと、家のことも全部。「話してくれてありがとうね。よく自分から言えたね」と褒めてくれた。そして「自分から言えれば、もういじめられないよ」と言われた。

 最後にKさんからのメッセージが添えられていた。「もしも今、いじめに悩んでいる人がいたら、先生を信じて話をしてみてください。守ってくれるはずです。自分で言える勇気を持ってください。守ってくれる人は絶対いるから」

 Kさんは、お姉さんと相談をしてこの手紙を書いてくれたようだ。多くの同じ悩みを持つ人のために。