ガードマンの一分 (2007/3/18)

 一宮市の長屋順子さん(35)は、昨年の大型連休に子供たちと一緒に、車で江南市の公園に遊びに出掛けた。帰りに立ち寄ったショッピングセンターで買い物を済ませて駐車場に戻ると、タイヤがパンクしていることに気づいた。

 交換しようと思ったが、たまたま工具を積んでいなかった。駐車場のガードマンに、近くにガソリンスタンドはないかと尋ねると、丁寧に道順を教えてくれた。お礼を言って車に戻ろうとすると、そのガードマン、「大丈夫ですか」と言って追いかけて来て、仲間に無線で工具が手に入らないか問い合わせた。

 間もなく仕事仲間が工具を手に駆けつけたが、あいにく型が合わない。ガードマンは「私の車に同乗してください。一緒に工具を借りに行きましょう」とわざわざスタンドまで付き合ってくれた。パンクしたタイヤでスタンドまで走るのは危険が伴うし、連休で休業している可能性もある-。そんな気遣いだった。

 ガードマンは差し出した謝礼を断った上に、こう答えた。「駐車場で困っているお客さまを助けるのが、私たちの仕事なのです」。車の誘導や不審者のパトロールだけが仕事ではないというのだ。

 家からは少し離れているのだが、以後、わざわざ江南まで出掛けることが多くなった。その店のファンになってしまったのだ。子供たちは今日こそはと、必ず駐車場であのガードマンを捜す。が、いまだ再会できないでいるそうだ。