続・『耳マーク』を知っていますか (2007/4/15)

 先週の「ほろほろ通信」で、熱心に「耳マーク」の普及活動をしている岡崎市の羽田野裕子さん(47)の話を紹介した。「耳マーク」=イラスト=とは、耳が不自由だということを障害者自身がアピールするための表示だ。同市の梅園小学校の柵木(ませき)弓先生(49)は昨年度、自分の担任する五年二組の授業に羽田野さんを講師に招き、活動について話をしてもらった。

 羽田野さんは子どもたちに、耳の不自由な人とコミュニケーションを交わすのに、要約筆記という方法があることを説明した。話し言葉をその場でサラサラッと書いて通訳のように伝える。特別の訓練を受けたボランティアがいて、講演会や会議など大勢が意見を交わす場で活躍している。

 その要約筆記をする際に必ず必要なものがある。書き留める紙だ。新品の便せんでは費用もかかるので新聞の折込チラシの裏面を活用している。そのことを知り、クラスのみんなでチラシ集めを始めた。活動は全校へと広がった。簡単なようで時間と手間がかかるという。裏面が白く、かつツルツルである必要がある。素早く筆記するためだ。これをA4サイズに切りそろえ百五十枚ずつにとじて、地元の支援団体に届けた。

 近くのスーパーで「耳マーク」のPR活動もした。普段から話すのが苦手だったり、最初は声が小さい子も、最後には買い物客から質問をされても、はきはきと説明できるようになったという。その時、三歳くらいの子ども連れのお父さんが近づいて来た。「うちの子も耳が不自由なんです。こんな素晴らしい活動をしている小学校なら、安心して入学できます」とおっしゃった。子どもたちは、喜んでもらえることがうれしくて、活動はだんだん大きくなっている。