夏休みの“宿題” (2007/7/7)

今日は夏休みを前にして、小・中学生の皆さんに向けて書かせていただきたい。

 「ほろほろ通信」のおじさんが、新幹線の駅で切符を買おうとしたときの話だ。自動券売機は長い列ができていた。イライラして順番を待っていた。使い方が分からず、もたもたしている人がいると、前をのぞいて「エヘン!」とせき払いしたくなる。

 ようやく自分の番になった。ところが、手元のお札が古いせいか、何度入れても戻ってきてしまう。焦って後ろを振り向くと、列は前よりも長くなっていた。視線が背中を刺すように痛んだ。何とか機械を通り、ジャラジャラッとお釣りが出てくる。気がせいているせいか、つかんだ手から百円玉が床に落ちてしまった。いつ怒鳴られるんじゃないかとさらに焦った。

 慌てて拾う背中に、後ろの男性が関西弁で声をかけてきた。「慌てんでもええがな、ゆっくりやりなはれ」。振り向くとニッコリほほえみを投げかけてくれた。心の中のイライラが一瞬に消えうせていた。それ以来、券売機などで自分の用が済んだ後、後ろの人に声をかけるようになった。「お先に」と。

 「ほろほろ通信」では昨年、小・中学校の皆さんに「ありがとう」という言葉を夏休みの間に何度も使ってみよう、という提案をした。夏休みの自由研究の課題として取り組んでくれた小学生から、立派な報告もいただいた。

 宿題というと大げさだが、今年も一つこんな呼びかけをしたい。人から言われてうれしかった言葉を見つけよう、というものだ。「ありがとう」「気をつけて」「お大事に」「大丈夫?」…。たった一言でほっとすることがある。そして、それはどんな場面で、誰から、どんなふうに言われたのか。どんな気持ちになったのか。夏休みの終わりに「ほろほろ通信」に報告してほしい。おっと、大人の方からの報告も大歓迎ですよ。