難聴患者に気遣いを (2007/9/16)

 前回の「ほろほろ通信」では、豊橋市の原田恵三子さん(49)が、路上で男子高校生から受けた親切の話を紹介した。原田さんは難聴に加えて、先天性の心臓病、腰椎(ようつい)変形症を抱えている。障害者にはまだまだ暮らしにくい世の中であることを多くの人たちに理解してもらいたいと、七月の市民が講師になる愛知サマーセミナーの演壇に立った。体の無理を押して。タイトルは「難病に負けない生き方、難聴患者の不便」。その一部を紹介したい。

 驚いたことに、一番不便に感じるのが病院だという。受付で最初に「難聴です」と説明しても、テレビがつけっ放しで、待合室のおしゃべりがざわついていると、遠くから名前を呼ばれても聞こえない。筆談器や振動呼び出し器、文字の電光表示などを設置している病院は少ない。そんな時、テレビの音を少しだけ小さくしたり、近くまで来て名前を呼んでくれると助かるという。

 ぜひ、眼科の病院にお願いしたいこともある。それは話をする時には部屋を明るくしてほしいということ。暗くなると、心理的なものが働いてか聞き取りにくくなる。健常者には分からないことだ。また、マスクをしたままや、ちょっと横を向いて話されると、それだけで聞き取れないこともある。当日は、看護師を志す女子高生も何人か聴講してくれた。患者の立場から、笑顔と心温かい対応こそが早期回復につながることを伝えた。

 電話で取材した際、補聴器を使ってゆっくりとこうおっしゃった。「子どもたちの自殺の話を聞きます。幼いころから何度も入院生活を余儀なくされましたが、乗り越えて生きて来ました。命を粗末にしないようにと伝えたい」と。