気軽な気持ちで献血を (2007/11/25)

 蒲郡市の山本一美さん(50)が学生時代に献血を始めたのは、単純な理由からだった。図書券がもらえたのだ。法律が変わって金品の支給がなくなった後も献血を続けた。血液検査をしてもらえるので、お酒の好きな山本さんにとっては健康チェックにもなる(おかげさまで、今まで一度も異常はなかったという)。

 二年前のある日のこと。勤め先の会社に、赤十字血液センターから電話がかかってきた。「なんだろう」と首をかしげて話を聞くと「あなたの血液成分の型と似ている方が病気にかかっています。治療のため献血をお願いします」。急ぎ必要ということで、指定された日時に会社を休んで飛んで行った。

 それから三カ月に一度ほどのペースで、その人のために献血を続けている。でも決まりがあり、その人の名前も住所も知らされていない。ただ一週間に一度の治療が必要だそうで、自分以外にも何人もの人たちが定期的に献血をして協力しているらしい。献血の依頼の電話がかかってくるたび、その人がまだ存命で治療を続けていることがわかり、ほっとする。

 特定の人の役に立っていることがわかり、一回の献血量を二百ccから四百ccに増やした。自分の血が人の命を救っていると思うと、何よりの喜びを感じるとおっしゃる。「私なんてまだまだ。二百回以上も献血している人を知っています」と山本さん。自身は、まだ(?)八十回ほどだという。

 山本さんからのメッセージ。「気持ちはあってもなかなかという人もいるでしょう。ぜひ、気軽な気持ちで出掛けてみてください。私は採血の間、DVDで映画を見て楽しんでいます。終わるとジュースが飲み放題ですしね」