忍者会員参上 (2008/1/6)

 一宮市の黒田小学校では、廊下を走る児童が多くてけがをする子どもが絶えなかった。子どもたちに「走るな」と言っても、なかなか言うことをきかない。そこで、校長の平林哲也さんが朝の集会でこんな呼び掛けをした。「忍者会員を募集します。廊下では、抜き足・差し足・忍び足の忍者になってほしい」と。

 すぐさま、三年生の一人の男の子が校長室にやって来た。その忍者会員になりたいという。忍者の三つのおきて「音を立てずに歩きます。いつも周りに注意します。弱い者を助けます」を守れるかを確認して、忍者会員証を渡した。

 これを持ち帰った男の子がクラスのみんなに見せながら話した。クラスのみんなもやって来た。口コミでほかのクラスにも伝わって、次々と会員が増えた。平林さんは必ず一人一人に三つのおきてを読み上げて、これがきちんと守れるかを確認してから会員証を渡す。

 わずか二十日ほどで全校児童の約半分が会員になった。何より、けがをする子どもが少なくなった。走っている子がいると、そばにいる忍者会員が「ニンジャ、ニンジャ!」と言って注意をするそうだ。言われた子も「走るな!」ではなく「ニンジャ!」と言われると素直に走るのをやめる。それだけでなく、当人も忍者会員になりたいと校長室にやってくる。

 でも時間がたつと、また走り出す子どもが増えてきた。今度は、五、六年生限定のスペシャル忍者会員を募集した。低学年のちびっこ忍者を指導するのが役割だ。平林さんは「やらされるより、やろうという心を大切にしたい。遊び心を持ちながら自分自身を見つめられるすてきな人になってほしい」と願っている。黒田小を忍者屋敷にできたらいいなあとも。