掃除をしている人たちがいる (2010/3/7)

 名古屋市北区の大野幹郎さん(83)は、志賀公園愛護会の代表を務めている。公園が自宅に隣接していることもあり、長年、清掃活動に骨を折ってきた。最近、目に見えて公園がきれいになった。ごみもほとんど落ちていない。それには理由があるという。

 公園の近くに住むおじいさんが、掃除にやって来る。九十三歳だ。春夏は草刈りに、秋は落ち葉拾いに。それも早朝の三時、四時からだという。もちろん誰に頼まれてのことではない。毎回、大きなごみ袋がいくつもいっぱいになる。

 園内には信長公ゆかりの平手政秀邸跡がある。愛護会から委任して、やはり近くに住む女性にこの史跡を清掃してもらっている。そのため、いつもきれいだ。公園はグラウンドゴルフの練習や大会の会場としても使われている。ここでプレーを楽しむ人たちも、みんなで草刈りをしてくれる。

 そのほかにも、遊園地から野球場にかけて毎朝掃除をしているおばあさん。池の周辺を掃除する男性たちなど何人もいる。毎朝、ラジオ体操の時間帯にごみ袋を手にして掃除をしている女性がいる。以前、名前を尋ねたことがあるが、それに答えず黙々と拾う。それがまた奥ゆかしい。

 大野さんはおっしゃる。「顔を合わせると『ご苦労さま』とだけ声をかけます。どこの誰かわからない人もたくさんいます。利用者の知らないところで公園をきれいにしているボランティアの人たちがいることを知ってほしいのです。そして、そのことを考えてきれいに利用していただけたらと願っています。みんなの公園だから」