「お弁当のおばさん」からの手紙 (2011/1/23)

 16日付「ほろほろ通信」で、河合孝治さん(41)の思い出話を紹介した。母親を早くに亡くして父親との二人暮らし。それを見かねた同じ公団住宅のおばさんが、幼稚園に毎朝持たせてくれたお弁当が今でも忘れられない。今自分があるのは、あのおばさんのおかげです。ぜひお目にかかってお礼が言いたいという話だ。

 翌々日、社会部に一通の便りが届いた。「何げなく読み始めて、アレッ私のことだと確信しました。あの孝治君が素晴らしい人間に成長していたこと、あのお弁当のことを忘れないでいてくれたこと。鳥肌が立ち何回も読み返しては涙があふれてきました。自分の娘の成長の節目ごとに、孝治君はどうしているかなと考えることがありました。今も当時のお顔をはっきりと思い出せます。今、私たち夫婦は春日井に引っ越してきて三十年余り。70と67歳のおじいさん、おばあさんです。孫もでき元気に趣味を楽しみながら暮らしています。どうぞこれからも、今の温かい心を持ち続け、ご家族を大切にしてご活躍されることをお祈りしています」

 ぜひ、二人をお引き合わせしたいと思ったが、手紙にはこんな言葉が添えられていた。「『お礼を』とのことですが、もうこれだけで十分です。お礼を申し上げたいのは私の方でございます。ずいぶん迷いましたが、住所・氏名は伏せさせていただくことにしました。孝治君によろしくお伝えくださいませ。春日井H・S」

 河合さんからH・Sさんへ返事を預かった。「父親も喜んでいます。できれば会ってお礼を申し上げたいと。でも、負担をかけないようにとの気遣いなのでしょう。実は、私の自宅も春日井。ひょっとすると、この30年の間にどこかですれ違っていたかもしれません。本当にありがとうございました」