10年前の「じゃこめし」がきっかけで (2011/6/19)

 4月24日付「ほろほろ通信」で、尋ね人の話を紹介した。名古屋市中川区の岡村幸栄さんの母親は、十年ほど前、市バスの中で中年の女性に声をかけられた。病気の母親の介護に実家を訪ねるところだという。「一緒に食べるためお弁当を5つ作ってきました。私の母とお姿が重なってしまって。食べていただけませんか」と言われて差し出されたのが「じゃこめし」だった。幸栄さんは、今、病床にある母親から頼まれた。「なぜあの時、名前・住所を聞いてお見舞いに行かなかったのか悔やまれる。自分が病気になってあの方の気持ちがわかった。今からでもお礼が言いたい」と。

 手掛かりは松蔭高校出身で城西病院の近くに住んでいるということだけ。新聞掲載後も連絡はなかった。幸栄さんは、地域の民生委員さんを訪ね事情を話した。小欄をコピーして心当たりを捜してくださった。すると一人の男性から電話があった。「それは私の姉のことに間違いありません」。続けて「じゃこめし」の女性本人からも電話が入った。ところが…。

 その女性も病気で自宅療養中だという。お礼を言うと「お見舞いに伺いたいけれどかないません。どうぞお大事に」とおっしゃった。幸栄さんは、病床の母親に報告。弱々しいが笑顔で「ずっと気になっていたけれど心が軽くなった」と喜んでくれた。その後、幸栄さんは家庭菜園で作ったタマネギを持ってお礼に出掛けた。先方の弟さんも「お母さんに見せてください」と、お姉さんの写真を持って訪ねて来てくれた。十年前の「じゃこめし」がきっかけで家族の交流が始まった。