続・少年の優しい一言 (2006/6/30)
十日付の「ほろほろ通信」で、岩村圭子さん(68)からのこんな便りを紹介した。上り坂を両手にいっぱいの紙袋を持ち、休み休み歩いていたときのこと。小学四年ぐらいの少年が声を掛けてきた。「荷物の一つを僕の自転車のかごに入れませんか」。厚意に甘えたかったが、子ども用の自転車なので大きな荷物は入りそうにない。でも、その気持ちがうれしくて丁寧にお礼を言った。少年の優しい一言のおかげで、帰宅後疲れも感じなかったという内容だった。
この話の掲載後、一人の読者からこんなご意見が届いた。「できれば無理をしてでも、荷物をかごに載せるべきだったのでは」という趣旨。きっと少年は胸を高鳴らせ、勇気を出して岩村さんに声を掛けたに違いない。その親切に甘えてあげることが、これから先、他人に親切をする心をはぐくむことになる-というのだ。
それも一理あり。失礼かと思いつつ「こんな意見もありましたよ」と岩村さんに電話を差し上げた。すると、この話の後日談を聞かせてくださった。
岩村さんも少年の厚意に応えられなかったことが気になっていたそうで翌日、学区の小学校へ電話をした。教頭先生が出られた。
おせっかいと知りつつ「こんな素晴らしいお子さんがいました。たぶんお宅の児童でしょう。名前は分からないけれど、ぜひ、朝礼か何かで褒めてあげてほしい」と。すると教頭先生は「いたずらの苦情はあるけれど、こんないい話を知らせていただいたのは初めてです。ありがとうございます」と感謝されたという。
朝礼で話題になったかどうかは分からない。でも一つだけ確かなことがある。ここに登場するのは、心優しい人たちばかりだということだ。