19「最近、つくづく思うことは、自分の足で歩けるということの幸せである。」五木寛之著「養生の実技」(角川書店)より

 五木さんは、右足首をひどく傷めたことがあり、その時はじめて足が不自由であることの大変さを身にしみて味わったといいます。階段の横にスロープがついていると、声に出して叫びたいくらい嬉しかったそうです。

 そう考えると、「当り前」のようでいて、忘れてしまっていることがいっぱいあります。

 目が見えること、ご飯が食べられること、両手が動くこと、音楽が聞こえること。もう切りがないくらいです。健康だと感謝という気持ちを忘れてしまいがちです。五木さんは、こう結んでおられます。

 「ときどき病気をすることは、人間にとって決して悪いことではない」