「いい話のノート」より・・・パート18
以前、本紙「心にビタミンいい話」で特集しました(株)ユタカファーマシーさんは、大阪・京都・滋賀・愛知などに221店舗のドラッグストアを展開しています。遠くのお宅まで配達したり、お子さんの手を引いて一緒に買い物をしてあげたり、車までお米や水など重い物を運んで差し上げるのが当たり前のハートフルなお店です。そんなドラッグユタカさんの社員やアルバイトさんたちが休憩時間に綴った「ちょっといい話ノート」から紹介させていただきます。今回は、その第18弾です。
(その1)長岡馬場店(京都府) Aさん
腕を骨折してしまいました。不自由なまま、スーパーへ出掛けた時のことです。店内で、店員さんに声を掛けていただきました。
「大変そうですね。お手伝いさせていただきましょうか?」と。お言葉に甘え、お願いすると、購入する商品を一つひとつ確認し、売り場の棚からわざわざ持って来てくれました。その上、レジでは財布からお金を取り出して下さり、また、帰りのタクシーを呼んで荷物を車まで運んでくださいました。
同じ接客業に携わる者として、あの店員さんを見習い、お客様への目配りを実践していきたいと思います。
スーパーの店員さんも、暇であるわけはありません。別にやらなくても済むことです。それを実践するということは、よほど「思いやりの心」がなければできません。ひょっとすると、その方も、骨折などケガをした経験があるのかもしれません。さらに、そのお店の店長さんも素晴らしい!トップの日頃の教育が「いざ」という時に、行動に移せる体制づくりになっているに違いないと推察します。
(その2)四条大宮店(京都府) Mさん
小さいお子さんを連れた外国のお客様が来店されました。「ベビーおむつはありませんか?」というお尋ね。あいにく、当店では扱っていません。そこで、すぐ近くのスギ薬局をご紹介しました。道のりをメモし、一緒にサンプルのお尻拭きを差し上げました。
しばらくして、そのお客様がおむつを手に戻って来られました。「さっきありがとう」と言い、当店で飲み物とお菓子を買ってくださいました。親切をしたら、すぐに還ってきました。
それです!それ!!人は親切をする時、見返りを期待しません。でも、大丈夫。相手には気持ちが伝わります。いつか、必ず還ってきます。・・・ところが、このお話では「すぐに!」還ってきたんですよね。こういうことがあるから、世の中楽しくなります。
(その3)エリアマネージャー Tさん
先日、電車に乗った時の出来事です。4人掛けのシートに、靴を履いたまま両足をシートに投げ出して座っている十代の若者がいました。茶髪で耳にはイヤフォン。見るからに不良という雰囲気です。そのシートに60代のご婦人が座りました。そして、
「シートが汚れて他の方に迷惑になりますから、足は下ろしましょうね」
と優しく話しかけました。ヒヤッとしました。若者が「なんだコラ」という顔つきでご婦人をにらんだからです。でも、ご婦人は動じません。しばらくして、若者は足を下ろしました。すると、ご婦人は、
「ありがとう」
と言い、ニコニコ微笑みました。ご婦人の優しく気づかせる行動に、母親のような心の大きさを感じました。
勇気がいります。それもかなりの。自分だったらできるだろうか。正直難しいです。それには、よほど包み込むような「愛」がないと、気持ちが伝わらないでしょう。単に注意するのではない。諭して導くのですから。
(その4)エリアマネージャー Uさん
私が店長になったばかりの頃の話です。
面接の約束時間を過ぎても、アルバイト希望のAさんがやって来ません。連絡もなく、こちらから電話を掛けてみましたが、繋がりませんでした。
「ドタキャンかな。それにしても電話一本できないなんて、最近の若者はマナーや礼節がなってないな」
と怒り心頭。そのまま業務に戻りました。
約束の時間が1時間も過ぎた頃、Aさんが現れました。第一声、
「申し訳ございませんでした!」
と頭を下げて謝りました。理由を尋ねると・・・。
駅のホームで電車を待っていると、目の前にいたお年寄りが突然、倒れてしまったというのです。救急車を呼び、病院まで付き添ったそうです。「連絡しなければ」と気付いて携帯電話を取り出すと、充電が切れていてかけることができなかった。それで、遅れてしまったけれど、面接にやってきたとのこと。
その話を疑いつつも、Aさんを採用して働いてもらうことにしました。
しばらくしてのことです。仕事中、Aさんのところに年老いた男性がやってきて、何度もお礼を言っているのが聞こえました。事情を聴いてみると、そのお年寄りは、Aさんが救ったというその人でした。
病院で救ってくれたAさんの連絡先を尋ねたけれど、わからなかった。でも、「ドラックユタカのアルバイト面接の時間に遅れる」と言っていたのを、看護師さんが覚えていたらしく、それを手掛かりにして探しに来られたとのこと。
一瞬でもAさんのことを疑ってしまった自分が恥ずかしくなりました。
Aさんは、その後、そのお年寄りが経営している会社に請われて就職しました。結婚もして二人の子供に恵まれ幸せに暮らしいます。
なんだか、ドラマみたいな話です。易経の教え「積善余慶」を思い出しました。善い行いをする者に、幸せが訪れる。
(その5)池下店 Mさん
ご家族の介護をしているお客様がいます。ときどき、その苦労話をして行かれます。つい先日のことです。「ここで話を聞いてもらうと気持ちが少し楽になります」と言っていただきました。
私も、両親、そして妻の介護をした経験があります。本当につらかったです。どんなことよりも、人に話を聞いてもらうことが、救いでした。