「いい話のノート」より・・・パート10

 以前、本紙「心にビタミンいい話」で特集しました(株)ユタカファーマシーさんは、大阪・京都・滋賀・愛知などに196店舗のドラッグストアを展開しています。遠くのお宅まで配達したり、お子さんの手を引いて一緒に買い物をしてあげたり、車までお米や水など重い物を運んで差し上げるのが当たり前のハートフルなお店です。そんなドラッグユタカさんの社員やアルバイトさんたちが休憩時間に綴った「ちょっといい話ノート」から紹介させていただきます。今回は、その第10弾です。

(その1)池田中央店(岐阜)Tさん
   
 新生活が始まってから早1年。アパート住まいの特徴と言うのでしょうか、同じ棟の一部の方とは入居時にご挨拶をしたきりで、顔もろくに合わせずの1年でした。

 ある日のことです。インターホンが鳴ったのでモニターを見てみると、見たことが無い男性が立っていました。夫に出てもらいましたが、どうやらアパートの斜め上にお住まいのご主人だったらしく、「赤子が居るので泣き声で迷惑をお掛けします」と、挨拶と共にお菓子を下さったのでした。生まれたばかりとのことです。

 「わざわざご丁寧に・・・」と感心した反面、私は入居の際に、「真上と横の部屋だけでいいよね」と斜め上のご家族だけ挨拶をしていなかった事を恥ずかしく思いました。

 私のアパートは4家族1棟で、よく考えてみればそこの奥さんと私の旦那の駐車場は隣同士。関わりが0というわけではありません。出勤時間が被って、夫は車内から軽く会釈を交わす事もあったようです。
「また改めて妻を挨拶に来させます」と仰ってみえたので、今更遅いかとは思いますが、こちらもしっかり名乗りご挨拶をしようと思いました。

 どうせアパートなんだから、と希薄な付き合いだと決めつけていましたが、「同じ建物の中で暮らす仲間なんだ」「円満に、時には助け合って生活していこう」と明るい気持ちになりました。

志賀内泰弘

簡単なことのようでも、「赤子が居るので泣き声で迷惑をお掛けします」なんて、なかなか言えないものです。ほんの少しのことで、ご近所付き合いも上手くゆくもの。Aさんの謙虚で前向きな心にも頭が下がります。

その2)エリアマネージャー Aさん

 先日、休日に出掛けた際の事です。実家に帰る際の手土産にと、近所では有名な和菓子店で買い物をしました。冷蔵の必要な商品を購入すると、会計時に、「ご自宅までどれくらいかかりますか?」と聞かれました。

「ああ、ドライアイスをいくつ入れるかという質問かな」と思い、
1時間程度である事を伝えました。会計が済み、手渡された袋の中を見ると、通常固まりのままで入れられているドライアイスが、いくつかに砕かれた状態で入っていました。どうしてこうなっているのかと尋ねてみると、

「お客様の購入された商品はアソート(いろいろな種類の詰め合わせ)になっており、帰ってすぐ召し上がる事を考えて、少しでも均等に冷蔵できるように配慮しました」
という答えが返ってきました。

 細かい事ですが、こういった顧客への配慮が、味や規模だけでない、人気店の秘密なのだなと感心致しました。

志賀内泰弘

え!?そんな話を聞くのは始めてです。『多めに入れておきましょう』と言われたことはありますが、砕くのは手間がかかりますから、なかなかできませんよね。どこの和菓子屋さんか気になって夜も眠れません

(その3近江店(滋賀県) Mさん

 車で家族旅行に行く途中、子供のおむつ交換で某コンビニへ立ち寄り入店しました。ところが、おむつ交換台がありません。夫婦で違う店を探そうと話していたところへ、店員さんから声を掛けられました。
「おむつの交換ですか?」
「交換台はないんですね」
と聞くと、
「少しお待ちください」
と裏に行かれました。すぐに再び戻ってこられると、
「こちらにどうぞ」
と事務所?らしき所へ案内されました。
「終わったらお声掛け下さい」
と店員さんは部屋から出られ、長椅子をお借りし、おむつを交換させてもらいました。田舎でおむつ交換が出来そうなところがなかったので、とても助かりました。

志賀内泰弘

設備が整っていなくても、気遣いはできる。お金をかけなくても、お客様に喜んでいただける。「おもてなし」のお手本のようなエピソードです。またまた「どこのコンビニか」と考えると夜も眠れません。