「いい話のノート」より・・・パート13

以前、本紙「心にビタミンいい話」で特集しました(株)ユタカファーマシーさんは、大阪・京都・滋賀・愛知などに201店舗(2020年3月現在)のドラッグストアを展開しています。遠くのお宅まで配達したり、お子さんの手を引いて一緒に買い物をしてあげたり、車までお米や水など重い物を運んで差し上げるのが当たり前のハートフルなお店です。そんなドラッグユタカさんの社員やアルバイトさんたちが休憩時間に綴った「ちょっといい話ノート」から紹介させていただきます。今回は、その第13弾です。

(その1)エリアマネージャー Mさん
   
 三宅八幡店(京都府)での出来事です。Kさんがレジに入っていると、顔なじみのお客様がお子さんを連れてやって来ました。子どもがモジモジしていると「早く言いなさい」と促しました。「・・・?」。子どもは、小さな手のひらから、何かを包んだティッシュを取り出し「ごめんなさい」と言って、Kさんに渡しました。

 中を広げると、口紅のテスターが出て来ました。「この前、持って来てしまったみたいで・・・」とお母さん。しゅんとしているお子さんにKさんが「そんなんしなくても、べっぴんさんやで」と言ったら、ニッコリしてくれました。たかがテスターですが、きちんと謝りに来て下さったことに嬉しくなりました。

志賀内泰弘

母親の教育、ちゃんとしていますねぇ。親が返しに来るんじゃなくて、本人に言わせる。お母さんも恥ずかしかったでしょうが、立派です。また社員のKさんの「べっぴんさんやで」も粋でいいなあ。罪の意識で苦しんでいる母子も救われたことでしょう。

(その2)彦根中央店(滋賀県) Aさん

 先日、従弟の家で祖父の法事がありました。法事の最後に、お坊さんがみんなに「お爺さんの顔を思い浮かべながら手を合わせてください」と言われました。そして、「お顔を思い浮かべた時、お爺さんはどんな顔をされていましたか」と問われました。
私の頭の中には祖父の笑顔が浮かびました。祖母に聞くと、やはり笑顔が浮かんだそうです。お坊さんは続けて、「一番の供養は、こうやって仏様のためにみんなで集まってお参りしてくれることだと思いますよ」とおっしゃいました。

 祖父は私が9歳の時に亡くなったので、祖父の事は正直あまりよく覚えていませんでした。親戚の人も祖父は厳しい人で、あまり笑う人ではなかったと言っていました。笑った顔を見たことがないのに、思い浮かぶのは笑った顔だったので、びっくりしました。故郷は遠いので帰省するのはたいへんですが、祖父が喜んでくれたに違いないと思いました。

志賀内泰弘

不思議なお話です。記憶のないはずの笑顔。それが心の中に残っている。間違いなく、厳しくても人から慕われる「お人柄」だったからでしょう。

(その3)桶狭間店(愛知県) Kさん

 初老の女性のお客様がオムツや日用品をたくさん購入されました。その後、私はコンビニへ行く用事があり店を出ました。すると、先ほどのお客様が横断歩道をお孫さんと思われる女の子と一緒に、渡っていました。荷物は女の子が抱えています。渡り切ったところで、女の子は女性に荷物を渡しました。そうなのです。お孫さんではなく、通り掛かりの子だったのです。感心して感動しました。

志賀内泰弘

親の顔が見てみたい!その女の子にも会ってみたい!こういう人が増えたなら、どんなに世界は住みやすくなることでしょう。

(その4)エリアマネージャー Aさん

 健康診断で病院へ行った時の話です。入院中らしいお婆さんと看護師さんの会話が聞こえてきました。お婆さんが「私は明るい色が似合わないから、いつも地味なこんな服しか着られない」と言うと、「そんなことはないわ。試しに私の髪留めを貸してあげるから」と言うと「そんな明るい色は・・・」と断っていました。

 検査が終わって帰る頃、再び、あのお婆さんを見掛けました。すると、髪にピンクの髪留めが止まっていました。心なしか、3時間前よりも表情が明るく見えました。たった一つの髪留めが人の心を元気付けることもあるんですね。

志賀内泰弘

それこそが「ホスピタリティ」なのでしょう。それにしても、この看護師さん「デキル!」。医は仁術なり。

(その5)宇治伊勢田店(京都府) Aさん

 バス停で停車していた時、車中の窓から見た光景です。横断歩道を歩いていた年配の女性が、かばんから取り出した財布の小銭を落としてしまい、地面に散らばってしまいました。すると、横断歩道の手前で停車した一台の車から、男性がサッと降りてきて、硬貨を拾うのを手伝い始めました。すると、その姿を見て、引き寄せられるように大勢の行き交う人も立ち止まり、硬貨を拾いました。颯爽と手助けされた男性がかっこよく見えました。

志賀内泰弘

なんかドラマのワンシーンのようですね。「カッコイイ」というのは、見てくれてではなく、「行為」であることが証明されるようなお話です。

(その6)城陽寺田店(京都府) Мさん

 お菓子の商品の納品時に、段ボールの箱を開けると、内側のふたの部分に、こんなメッセージが印字してありました。とても癒されました。

 「ありがとうございます」
 みなさまのおかげで、お客様に
 お菓子をお届けすることができます。
                  〇〇株式会社社員一同

志賀内泰弘

「なんだ、印字か」と思う人もいるかもしれません。でも、「気持ちが」嬉しいですよね。きっと、社員の誰かが言い出したんですよね。そしたら「やろうやろう」ってことになって。いい会社だなぁ。