建設業で本当にあった心温まる物語4(その1)

 建設コンサルタントの降籏達生さんが、『建設業で本当にあった心温まる物語』の第四弾を発行されました。

 建設業従事者、建設業と関わりのあった方より実話に基づく『心温まる物語』を収集し、厳選してまとめた本です。

 思わずホロッとくる話が詰まっています。

 その中から、一つ紹介させていただきます。

建設機械好きな子どもに、最高の誕生日を

     ATさん

 知り合いから聞いた心温まる物語です。

 私の知り合いB君が会社に入って二年目のころ、地方の建設現場で上司と新築工事を行っていました。現場では様々な職種の方が働いていて、当時駆け出しだった彼は、分からないことだらけ。仕事を覚えたいため、毎日職人さんに付きっ切りで建設現場に張りつめていたそうです。建設現場事務所には、経理の若い女性がおり、仕事が終わるたびに、その女性と雑談をしていました。女性と飲みに行ったりメールをしている中で、彼は

「何で建設現場で働いているのか?」

と尋ねたことがありました。すると、女性からは

「自閉症の息子がいて、息子がトラックやクレーンなどの建設機械が好きなので…」という答えが返ってきたのです。

ある日、女性が

「一週間後、息子の誕生日で、学校の友達を誕生日パーティーに招待しているんですよ」

と、目を輝かせて話していました。とても楽しみにしていたようでした。一週間後、その息子さんの誕生日。彼も女性からのメールを楽しみにしていたのですが、彼女から来たメールは

「誰もパーティーに来てくれなかった」

という、悲しい内容でした。彼はとても悲しい気持ちになり、女性や息子さんの気持ちを考えると胸が張り裂けそうでした。

 そこで彼は、あるアイディアを思いつきました。息子さんは、建設機械が好きとのことだったので、上司に相談してトラックとミニショベルを借りたのです。彼はトラックに乗り、途中で玩具のショベルカーを買って、大急ぎで女性の家に行きました。家には、事情を聞きつけた上司や職人さんがたくさん駆けつけており、息子さんはとても大喜び。女性はうれし泣きをしていました。

 最後に息子さんと現場の仲間で一緒に写真も撮りました。

「一生の思い出に残る誕生日だった」と、感謝されたそうです。

 ちなみにその女性は、今の彼の嫁さんです。   
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すごいオチですね。
まさか、奥さんのエピソードだったとは!
 
さて、
今回出版した第4弾は、「若者のチカラ」をコンセプトに57編を選出。
未来の建設業を担う若手技術者・技能者(職人)のエピソードを中心に集められています。

降籏さんは、
「多くの方々に、建設業に興味や関心を持ってもらい、
建設業に入ってきていただけることで、地震や洪水があっても被害を最小限に止められる
建設業であり続けたいと思っています」
と熱く語ります。

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