サービスエリアの「おもてなし」(2)

 ネクスコ中日本に届いたお客様からのサンキューレターを紹介します。

 いずれも、高速道路のサービスエリアでの出来事です。

「一人分のおそば」

 定年を迎えてから、妻と旅行に出掛けるようになりました。一番楽しみは、各地で美味しい物を食べる事です。

 でも、若い時に比べて、食べられる量はぐんと減りました。一人分の食事を二人で分けて食べたりしています。

 先日、紅葉を観に行く途中で、サービスエリアに立ち寄った時のことです。残してはもったいないと思い、おそばを一人分だけ注文しました。すると、

「おつゆお箸は、二つずつご用意しましょうか?」

と店員さんが声を掛けてくれました。おそらく、私たちの事情を察してのことでしょう。

 いつも肩身の狭い思いをしていたので、思いがけない気遣いに涙が出そうになりました。サービスエリアを出た後も、ふとした瞬間にあの店員さんの笑顔が思い出され、温かな気持ちで旅行を楽しむことができました。

志賀内泰弘

私も経験があります。夫婦で喫茶店に入り、一つだけサンドイッチを注文したら、「普
通は三切れなんですが、四切れにしましょうか」と言われました。そして、取り皿まで
付けてくれたのです。「ああ、またこの店に来たい」と思いました。

「雨中の安息」

 単身赴任なので、週末には車を飛ばして自宅へ帰っています。

 「明日の試合に出してもらえそう」と、息子から電話があったのは金曜日の午後のことでした。キックオフは午前9時。いつものように、土曜日の朝に出発していたのでは間に合いません。嬉しそうな息子の声を思い出しながら、金曜日の夜遅くに仕事を終えた後、高速に乗りました。

 ところが、途中から降り出した雨がどんどん強くなり、ワイパーが追いつけないほどでした。私は深夜の運転が苦手で、こんな経験は初めてでした。大雨で視界が悪いが上、疲れで眠気も湧いてきて、あわててサービスエリアに入りました。

 熱いコーヒーを飲み、テーブルにもたれかかって休んでいたところ、

 「大丈夫です?」

と声を掛けられました。

 振り向くと、レストランのスタッフの方でした。

 「奥のソファー席の方が休みやすいですよ」

と言い、パーテーションを少し動かして周りの視線からさえぎるようにしてくれました。また、ブランケットとクッションまで貸してくれたのです。さらに、

 「これで暖まってくださいね」

と、熱々のお茶とお味噌汁まで持って来てくれたのです。よほど疲れているかのように見えたのでしょうね。

 おかげで、ソファーでしばらく横になることができ、頭も気分もスッキリ。車の中で休憩するよりも、ずっと楽でした。

 雨は相変わらず降り続いていましだ、おかげで無事に家にたどり着くことができました。

 帰り際に、そのスタッフの方から、

 「温かいペットボトルを腰に当たると気持ちがいいですよ」と、運転の裏ワザまで教えていただき、今度の週末の帰省にやってみようと思っています。

 ありがとうございました。

志賀内泰弘

 いやあ~至れり尽くせりとは、このことですね。それにしても、このスタッフさんは「デキる!」。ホテルの語源は、ラテン語で「ホスピタリア(無償の接待部屋)」だそうです。素晴らしいホスピタリティですね。高級ホテルやレストランからスカウトが押し寄せそうです。