ケンタッキー店長・副店長会議⑱・・・いい話の報告会

 (株)リウエン商事さんは、ケンタッキーフライドチキンやドトールコーヒーの加盟店を十数店舗も沖縄県で展開しています。それぞれのお店の店長・副店長さんが集まる月に一度の会議では、全員から「いい話」を報告してもらうコーナーがあります。今回は、その「ケンタッキーのスタッフのちょっといい話」の第18弾です。

(その1) 本社Nさん

 先日、バスに乗った時のことです。混雑しており、唯一空いていた運転手さんのすぐ近くの席に座りました。

 そのとたん、運転手さんに声を掛けられました。「お子様は大きくなられましたよね」と。「え?!・・・」。キョロキョロと周りを見回しましたが、私に対して言っていることに間違いはないようです。「はい、大きくなりました」と返事したものの、疑問が残ったままバスは走り出します。

 その後も、様々なことを話し掛けられ、ますます疑問が募りました。そして、よくよく運転さんの顔を覗き込んでハッとしました。息子が、まだ三歳の頃、「バスに乗りたくないよ~」とだだを捏ねていた時、「怖くないよ~」「楽しいよ~」「乗ってごらん」と運転席から話しかけてくれた運転手さんだったのです。

 もう10年も経っているのに、私たちのことを覚えていて下さったのです。私も接客など人と関わる仕事をしています。一期一会。一つひとつの出逢いに誠意を持って向き合う姿勢を大事にしなくてはと感じました。

志賀内泰弘

この運転手さん、すごいですね。10年も前のお客様のこと、よく覚えておられたものです。志賀内は、人の顔を覚えるのが苦手で、あちこちで「ご無沙汰です」「こんにちは」と挨拶されてキョトンとすることがしばしばあります。そんな話をしたら、友人に指摘されました。「覚えるのが苦手なんじゃないよ。本気で覚えようとしていないだけだ」と。その通り。恥ずかしくなりました。一つの出逢いを大切にすることで、この運転手さんのように、人を幸せな気分にしてあげけられるのですね。

(その2) 本社 Eさん

 法政大学大学院の坂本光司教授の著書「日本で一番大切にしたい会社」で取り上げられている長野県の伊那食品工業(株)さんへ視察に行ってきました。プライベートで買い物に出掛けて駐車場で車を停める時には、入口から遠くに停めるように心掛けること。足の不自由な方や妊婦さんのために、入口近くの場所を空けておくためです。そのように全社員に指導している会社として有名です。
テーマパークになっている本社「かんてんぱぱガーデン」の敷地内のお庭には、年間二十五万人が訪れるというだけあって常に手入が行き届き、トイレも常にピカピカで水滴一つありませんでした。
役員の方からの説明で最も印象に残った言葉があります。「立派な社会人とは、人の役に立つこと、他人に迷惑をかけないということに気づくこと、人として当たり前のことに感謝の気持ちを持てる人のことである」と。人間教育に力を入れ、実現されたことに説得力を感じ、身につまされる思いに駆られました。
それゆえ私も、スーパーなどで駐車する時は、遠くへ停めることを心に誓いました。

志賀内泰弘

駐車場の話。それは、最澄の教えである「忘己利他」に結びつきます。己のエゴを捨てて、人のために尽くす。なかなか難しいことですが、結局、それは自分に還ってくるという教えです。それは、伊那食品工業(株)さんが長年にわたって増収増益を続けていることで証明されています。

(その3)ケンタッキーフライドチキン 北谷店 Yさん

 スーパーのレジに並んでいた時のことです。どのレジも4、5名が並んでいて煩わしさを感じました。その一つに並んで待っていると、私の前の人が「お兄さん少ないね。先にどうぞ」と順番を譲ってくれました。ありがたく代わってもらうと、なんと!その人は、そのまた後ろの人にも「先にどうぞ」と譲られたのです。気配りに感動してしまいました。

志賀内泰弘

人の目は後ろについていません。でも心の目で周りを見ようと心掛けている人には、前も後ろもありません。誰にでもできるけど、なかなかできないことです。

(その4)  本社 Oさん

 先日、帰り道でのお話です。

 横断歩道を視覚障害者の男性が白杖をついて渡って来るのが見えました。その隣で男性が介助しています。道路を渡り切ると、白杖の人は、付き添ってきた男性に「ありがとうございました」とお礼を言いました。この二人は知り合いではなく、たまたま横断歩道を渡るのを手伝ってあげたことがわかりました。

 白杖の人は、信号を渡ったものの、何やらキョロキョロとしています。

 そこへ別方向から歩いてきた女性が現れ、白杖の人に声を掛けました。「駅へ行かれるのですか?」と声を掛けると「はい」という返事。駅へ行くには、もう一度信号を渡らなければなりません。今度は、その女性が白杖の人を介助して信号を一緒に渡ってあげました。

 最初にヘルプした男性も、次にヘルプした女性も、行き先が逆方向だったようです。再び、来た道の信号を渡って去っていきました。

 たまたま、1人の困った人を、2人の人が助けた現場に立ち会いました。みんな家路を急いでいるはずなのに、困っている人を助ける。当たり前のはずなのになかなか出来ない。そんな事を自然と行った男性と女性に感動した帰り道でした。

 何も出来なかった自分が恥ずかしかった帰り道でもありました。

志賀内泰弘

日本中で、このような親切のバトンタッチが行われたら、障がい者もお年寄りも、妊婦さんも安心して遠くまで外出できますよね。そういう世の中を、「プチ紳士・プチ淑女を探せ!」運動は目指しています。

(その5) ケンタッキーフライドチキン イオン那覇店 Tさん

 小学一年になったばかりの息子を、校門まで送った時のことです。「おはようございます!」と元気な子供たちの声が響いてきました。息子の学校では「朝の挨拶運動」が盛ん。登校してくる高学年の子供たちは、私の前で立ち止まり、「お辞儀」をして挨拶してくれるのです。「立ち止まり礼」と言い、この学校が力を入れている取り組みなのです。「ああ、挨拶ってこんなに気持ちのいいものなんだ」と体感しました。子供たちに教えられることはいっぱいあります。

志賀内泰弘

大企業の人事担当者から聞いた話。人を見る時、どこに注目するか。それは「挨拶」だと言います。でも、「挨拶」は簡単なようでなかなか難しい。子供の頃からの習慣によって身に着くものだからです。