ハンデがあるから他人のために

 体調が悪かったりすると、自分のことだけで精一杯になり、他人のことなど考えられなくなります。ましてや、身体にハンデがあったらなおさらのことです。それが当たり前、まず自分のことが大切です。

 さて、名古屋に本社を置く、フジタクシーに乗った時のことです。

 運転席の後ろのポケットに刺してある「一期一会」という名前の車内報(社内報ではありませんので念のため)に、こんな記事を見つけました。ここに転載させていただきます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 19年前である。バイクの単独事故で左足を失った。義足をつけている。

 事故の2週間前、彼女(家内)のご両親に結婚の許しを願い出た直後のことであった。

 「こんな体で俺はこれからどうすれば良いんだ」病院のベッドの上で、自暴自棄に陥っていた。

 何とか絶望の淵から立ち直ることができたのは、献身的に看病してくれた彼女の支えがあったからだった。また、そんな私に生きる希望を与えてくれたのは、フジタクシーグループだった。

 入院中、自身の体験から、障がい者の移動手段が非常に少ないことを感じ、自分が何とかしたいという強い思いを持っていた。
退院後、私は迷わずフジタクシーグループの門をたたいた。タクシー業に従事したかった。フジタクシーを選んだのは、「より良いサービスをより安く」のスローガン。一番お客様のことを思っている会社だと思ったからである。
「でも、こんな体で雇ってくれるだろうか?」
不安が頭をよぎる。

 面接担当者は、私のそんな不安を感じ取ってか、「体の障がいは問題ではありません。大事なのはお客様を思う気持ちです。と言ってくれた。私の気持ちに迷いはなかった。「フジタクシーで第二の人生を頑張ろう!」
みんなは暖かく迎えて迎え入れてくれた。

 フジタクシーに入社してから今まで、身体の「ハンデ」で嫌な思いをしたことは一度もなかった。同僚はみんな普通に接してくれる。上司も他の乗務員と私を区別することは全くなかった。それが嬉しかった。

 元来、負けず嫌いの性格である。障がいを理由に甘えることはできない。他の乗務員が行うサービスはすべて行った。もちろん、勤務も他の乗務員と同じ勤務を務めた。無線で配車を受けた際には、お部屋の前までお迎えに上がった。そして、売上はいつもトップクラスを維持した。

 今は、6年半の乗務職を経て「運行管理者」として乗務員の指導、育成にあたっている。「私がね、フジタクシーを好きなのは、私らみたいな年寄りを自分の親みたいに大事にしてくれるからなんだよ。あなたも頑張りなさい」
今でも、入社当初に高齢のお客様から言われたこの言葉が、私の支えになっている。

 フジタクシーに入社してもう18年。入社して本当によかったと心からそう思っている。
ご乗車ありがとうございます。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 (志賀内)

 私はいろいろと持病があり、体調の万全の時のことの方が珍しいほどです。精神的にも弱いので、ついつい弱音を吐いてしまいます。それだけではなく、よく「体調が悪いので」と言い訳を口にします。
 ハンデがありながら、トップクラスの成績を上げていることに、ただただ頭が下がります。