「こころ便り」から⑮「具体的に示す」

      木南一志

 厳しい夏の暑さがやってきそうな予感がする日々となってきました。今年は関西地区での節電が最も大きな話題となっています。節電対策を契機にエコスタイルだけではなく、夏時間の採用や休日の振り替えなど、それぞれの立場で考えてきたことを実行に移すチャンスであるともいえます。答えはひとつではないはずですから、どんな効果が得られるかは分かりません。ピンチをチャンスに変えることが出来るのは、どこまで真剣に考えて実行に移すことが出来るかにかかっているといえます。そのためには具体的な行動を小さく積み上げていくことが遠回りのように見えて、実は近道となっていくのです。

 道路清掃も毎日10mと少しずつ実行することが、設定した500mの目標に向かって確実に近づいていくことになります。その行動を続けていくことで実力がつき、同じ時間であっても今までの倍の広さを実行できる、繰り返しやっているおかげで簡単に出来るようになっていくものです。これは、やってきた人にしかわかりません。理屈だけで実行している人以上の力を示すことは、やっていない人にはできません。

 自分は、いつ、何を、どうするのかを具体的にすることで目標に近づくことが出来るようになりますが、その簡単で誰にでもできることを「そんなことぐらい・・・」で片付けてしまうから、いつまでたっても空回りを繰り返していきます。

 一人の力でできることは、小さなものです。しかし、それを少しずつ、少しずつ積み上げていくことを続けていくと、ある日突然氣づかされる時がきます。そして、何が大切なことであったのかを振り返ったとき、たった一人で始めた小さなことであると、あらためて感じさせられます。そのうえ、その行動を見た人に新たな気づきを与え、次の具体的な行動へとつながっていくのです。

 現在のマスコミの悪いニュースの裏返しとも言えます。悪いことばかりを聞かせておきながら、良い社会にしていくことはできません。悪いことはすぐに広まりますが、良いことはなかなか広がっていかないものです。だからこそ、氣がついたあなたが具体的に実行を始めていくこと、続けていくことが世の中を明るくしていくのです。

 すべては、自分に鍵が与えられているといっていいでしょう。やるか、やらないか決めるのは自分。やれば必ずできる。世の中を良くする具体的な行動を始めていきましょう。

 東日本大震災の地にこころ寄せて