「こころ便り」から⑦「学ぶこと」

      木南一志

 朝晩の日が少しずつ長くなってきました。しかし、寒さが続きます。この時期には、風邪を引くことだけでなく、怪我をしたり、腰を痛めたりすることが多いものです。仕事にとりかかる前の準備運動が大切です。

 最近、本を読む人が少なくなったそうです。読書は、知識を豊富にするだけではなく、自分の考え以外のことを教えてくれます。

 同じことでも「そんな考え方があったのか」と教えられることもあります。

 ある人を勉強会に誘ったときに、学生時代に受験勉強で勉強するのが嫌いになったと断られたことがありました。

 その人は、体を動かすのが好きでスポーツ万能の人です。正直言って、私も勉強は嫌いです。成績も良くありませんでしたし、先生からはいつも怒られてばかりでしたから・・。しかし、「学ぶこと」が大切だと最近特に感じています。

 学ぶことは、頭が良くなるとか成績が良くなることではありません。偏差値ではなく、経験値を上げるといえばわかりやすいでしょう。同じことをやっても学ぶことで少しずつ、成長していくということです。

 たとえば、自動車の運転。ガソリン価格の高騰でエコ運転を欠かすことができません。エコ運転とは、第一に発進速度を遅くすること。アクセルをグッと踏み込まないことなのです。これは、習慣ですから意識して行動しないとなかなか実行できません。これだけで燃費は大きく変わってきます。ただこれだけのことでも、知っているのと知らないのとでは大きな差があります。

 そして、知ったことを実行することが、初めて学んだということになります。やってみたけれど、燃費が変わらないならば、「どうすれば燃費が良くなるか・・・」という次の課題が生まれてきます。それを追求していくことが、成長の道となるのです。

 前にも紹介した風を起こさずにトラックを走らせるプロがいます。彼らは常に意識をして実践を重ねています。当然、事故もありませんし、仕事の内容も素晴らしいものです。そして、何より大切なのは、その実践を続けることで人間が成長するということです。

 先日の雪の日。彼らが凍結防止剤を寒い中、自発的にまいてくれました。自分たちの出発を遅らせて、会社の前や凍った橋の上を走る人たちのために・・・です。

 「道を極める」といいますが、その意味は物事の本質をつかむということなのです。それは、小さな実行の積み重ねのなかで工夫され、続けられることでしか得ることはできません。

 本を読むことだけでは学べないこと、それは日常の仕事の中に隠れているのではないでしょうか?逆に言うと、日常に学ぶところを見出していないから、本さえも読むことができないのです。

 学ぶ人は何からでもヒントを見出していきます。そして、変わり続けているのです。成長しているのです。隣にいる人が、以前のままの友達とは言えないかもしれません。お互い仕事を通じて成長できる人になりたいものです。