「こころ便り」から④「親孝行月間」

      木南一志

 秋の訪れが意外に早くやってきました。実りの秋といきたいところですが、まだ少し時間が必要です。政権交代が実現し、いろいろな政策が実行に移され始めました。これから先はあちこちに痛みが生じてくることと思います。変えなくてはならないことと変えてはならないことをしっかりと見極めて進んでいただきたいと思います。

 吉田拓郎の歌に♪~“古い船にも新しい水夫が乗り込んでいくだろう。古い水夫は知っているのさ、新しい海の怖さを~”という一節があります。当時、中学生だった私には分かるような分からない言葉だったのが、実感として理解できます。怖さを知ってしまうと、新しく変えていく勇気が出てこなくなるのです。しかし、時代は確実に変化しています。変えるべきは、断固として変えねばなりません。どんな痛みを伴おうともです。

 さて、この春に出会いをいただきた株式会社タニサケの松岡 浩会長から教えていただいた親孝行月間がいよいよ実施のときとなりました。八月に水害があったために配ることができなかった鍵山相談役の「人生の作法」と一枚のハガキ、そして軍資金(金一封)を社員の皆さんに配らせてもらいました。彼岸の入りから一ヶ月ということで十月二十日までの期間で親孝行をしてくださいというメッセージも入れさせていただきました。嬉しいことに、さっそく感謝の報告ハガキやお礼の電話が届いています。

 多くの人が自分という存在を「何をやっても続かない」とか「能力がないから・・・」などと否定的にとらえています。実は、自分の命の本(もと)をたどれば、三十代前で十億人以上もの先祖が存在するのです。その誰か一人が欠けていても今の自分自身は存在しない。十億人の知恵の結集が自分なのだ。その入り口が両親なのだと気づいたら、いろんなことに前向きに取組んでいけることでしょう。二宮尊徳翁の道歌に「父母(ちちはは)も、その父母も我が身なり 我を愛せよ 我を敬せよ」とあります。――自分の体の一つひとつが父母から受け継いだもの、祖父母から受け継いだものなのだ。自分の命を大切にすることは、父母を大切にすること。父母を尊敬するくらいに自分の命を敬いなさい。(木南解釈)

 自分の命の根源に尽くすことによって、教えていただけることがあるのです。不幸にも両親や家庭に恵まれなくとも、それに倍する以上の先祖があなたを包んでいることを忘れてはなりません。静かに感謝の手を合わすことができれば、知識ではない教えが心の中に沸き起こってくるはずです。

 親不幸をつくしてきた私が偉そうにいえませんが、すべてを素直に受け入れることができたときに人生は好転して行くのです。本氣で親孝行をしていきましょう。きっと良くなる。必ず、良くなると信じて・・・。