第5回 友達に電話しまくる・・・情報が欲しい

初診でM先生は、無表情のまま「検査をして後日改めて診察します」と言った。翌週以降にCT、心電図、そして放射線骨シンチの検査予約。次の診察は10日の4月21日になった。私は「そんなノンビリな」と怒鳴りそうになるのを堪えた。なぜ今日明日にでも検査できないのか?重篤な患者なのだ。10日間でがんはさらに進行する。その時は「このままだとカミさんは4か月で死ぬ」とに思い込んでいたから仕方ない。

このままM先生にカミさんを委ねるわけにはいかない。帰宅すると、友人に電話をかけまくった。名医や最新がん治療の情報が欲しかったのだ。医学は日進月歩進歩している。がんは昔と違い、治る病気になっている。友人たちの親族や友達で、「治った!」という人がいないか。それはどこの病院でどんな治療方法か。

以前、ごく親しい大学病院のお医者さんから耳にしたことがあった。「肝臓がんで余命3か月という入院患者が、ある日CTを撮ったらがんがキレイに消えているんだよ。病室でこっそり民間の薬を飲んでいたことは知っていた。そういうことがあるんだよ」と。人は、どん底に陥ると神仏に頼ろうとする。奇跡を求める。私も例外ではなかった。「助けてくれ!」と友人たちに救いを求めた。100%効く特効薬があるなら、みんながやっていると承知しつつも。すると、(ご無礼ながら混交玉石の)治療方法の情報が次々ともたらされた。例えば・・・。

ある製薬メーカーに勤める友人から届いたのは、ベンズアルデヒドという特効薬の資料だった。「がんの特効薬は発見済みだ!」という本の著者で、京都の開業医・岡崎公彦さんが処方しているという。またガゴメ昆布から抽出したフコイダンのエキス。免疫力を高めることで知られている健康補助薬だ。薬ではないが、サイモントン療法なるものがあることも教えてもらった。がんになると人はマイマス思考になる。楽しい前向きなイメージを持つと、がんが消滅するという。弁護士の友人からは治療とは呼べないかもしれないが、順天堂大学医学部付属順天堂病院の「がん哲学外来」の情報を。同大教授・樋野興夫さんが提唱された「がんで悩む患者、家族と医療者がお茶を飲みながらじっくり語り合う場所」を提供するというものだ。その他、食事療法で有名な医師・済陽高穂さんの本は、何人もの友人から送ってもらった。