メルマガ「志賀内泰弘の恩送り通信」第22回(その8)志賀内人脈塾「一つの出逢いが人生を変える」~贈り物と人とのお付き合いを考える(2)

メルマガ「志賀内泰弘の恩送り通信」第22回
(その8)志賀内人脈塾「一つの出逢いが人生を変える」
~贈り物と人とのお付き合いを考える(2)

 ☆今の私があるのは、友人・知人・両親・親戚・先輩・同僚・心の師など大勢の人たちの「おかげ」です。いただいたたくさんの「御恩」を次の人へと
「送る」ために、新作や約3.000本のアーカイブスから厳選してお届けします。
名付けて「志賀内泰弘の恩送り通信」です。

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「手土産は大切な人を紹介する際の必需品」
             志賀内泰弘 

 前回、人から物をもらうのが苦手だと書きました。
なのに、人に物を上げるが好き。
まったく、困った人間です。

さて、人と人のお付き合いは「心」です。
だから、「物」をくれたから「いい人」だとか、「手土産」を持って来なかったから、好きになれない、なんてことはないはずです。
 でも、人に頼み事をするために訪問する時には、多くの場合、手土産を持っていきます。
初対面の際には、手ぶらの人の方が珍しいでしょう。
 初対面だと、「人柄」を理解してもらうのに時間がかかります。
少しでも、第一印象をよくしようとして、相手の好みを周囲の人たちが聞き出すなどして、
喜んでもらえるものを誂えます。

こんなことを言う人がいます。
「世の中は、二つの人に分けることができる。
それは、プレゼントを贈る人と、贈られる人だ」
知り合いのお医者の家には年に二度、お歳暮、お中元の引き取り業者がやって来ます。
 たくさんもらうのはいいけれど、困ってしまうのですね。
こんなふうに、人を二つに分けることもできますね。
「頼まれる人と、頼む人」
「お世話になる人と、お世話をする人」
です。

「頼まれる人」「お世話する人」は、たくさんのプレゼントで、困っています。
だから、よほどの手土産じゃないと、本音のところでは、あまり嬉しくはありません。
しかし、「贈られる人」「お世話をする人」を仮に成功者だとすると、成功者であるがゆえに、相手に失礼なことは口にしません。
「ああ、私の好物です。どうしてご存じなのですか。ありがとうございます」
と、お礼の電話をしたり、お礼状をしたためます。

私の「心の師」のお宅を始めて訪ねた時のことです。
もちろん、選りすぐりの、それもサプライズのある手土産を持参しました。
すると、ずいぶん喜んでいただき、ほっとしました。
 ところが、帰りに玄関のところで、奥様に「これ、いただきものですけど」
とお土産の袋を二つ渡されました。固辞しようとしましたが、その場の雰囲気から考えて有難く頂戴することにしました。
一つの袋には、お菓子が入っていました。
おそらく、他様からいただいた物だと想像が付きました。
もう一つは、デパートの包装紙で高級ブランドのハンカチセットでした。
きっと、大量に同じものが買い置きしてあり、手土産を持ってきたお客様に、お返ししているのだと察しがつきました。
 もらう人も、たいへんなのです。
もらったら、もらいっぱなしという訳にはいきません。
デキル人ほど、すぐにお返しをします。

だから・・・といって、「手土産は相手の負担になるから持参しない」なんていう理屈にはなりません。
それが、社会の常識であり、大人としての当たり前の行為なのです。
 なぜ、そんな当たり前のことをお話させていただいたのかというと、当たり前が、当たり前でない世の中になってきたからです。
お歳暮やお中元、接待を廃止したり縮小する企業が増えているそうです。
虚礼廃止です。それはいいことだと思います。虚礼も会社の経費です。経費は、商品に加算されます。
それくらいなら、安い価格で消費者に提供して欲しいと思うからです。
 でも、そう簡単に物事は割り切れないと思うのです。

ある時、東京の友人から、インターネット業界で急成長している会社の社長Aさんを紹介されました。
「この人のこと、世話してやってほしいんだ」
と。Aさんから、中部圏に進出したいと相談を受けたので、
「じゃあ、しかるべき名古屋のキーマンを何人か紹介するので、名古屋へ起こしください」
と答えました。
私は、事前に3人の経営者にアポを取り、新幹線の名古屋駅でAさんを待ちました。
「さあ、行きましょうか」
と行って、タクシー乗り場に歩き始めたところで、「おや」と思いました。中身がパソコンだとわかるカバン一つしか手にしていないのです。
 Aさんに尋ねました。
「あの~、先方への手土産は・・・」
「急いでいたので」
まあ、そういうこともあるかな、と思い、
「じゃあ、近くのデパートへ案内しますから、そこで買ってください」
と言いました。
 
しばらくして、Aさんは小さなお菓子の包みを3つ手にして戻ってきました。正直のところ、私は心の中で、
「何をケチってるんだ。もっと高いものを買えよ」
と思いましたが、口にせずにタクシーに乗り込みました。

Aさんは、その3人と実に上手く話をしました。
いわゆるプレゼンが完璧なのです。聞かれたことも、わかりやすく返答しました。
紹介した私は、少しホッとして胸をなでおろしました。
 ところが、です。
Aさんが東京に戻って、何日も経つのですが、その後、紹介した3人とビジネスがどうなったのか報告がないのです。

痺れを切らして連絡を取ると、
「ああ、すみません。
いずれも価格が折り合わなくて、進みませんでした」
と言うのです。

呆れました。
紹介者に、最初のうちくらいは進行状況を報告するのは当たり前のことです。
私は、慌てて紹介した3人にお詫びの電話を入れました。
そして、
「なぜ、あそこで、思い切って決断しなかったか」
と後悔したのです。
それは、デパートから出てきたAさんは、紹介する3人の手土産だけで、
私の分を買って来なかったのでした。
 何度も繰り返しになりますが、私は物をもらうのが好きではありません。
しかし、私とも初対面です。明らかに常識を欠いています。
さらに言うと、名古屋市内をグルグルと回ったタクシー代は、すべて私が支払ったのでした。

これについては、私は当然と思っています。
自分のホームグラウンドでは、相手にお金の負担をかけさせない。
ホストとお客様の関係だからです。
そして、東京の友人の紹介だからです。
でも、
「私が払います」
というポーズだけでも必要です。
Aさんは、ビジネスはデキル人でした。
しかし、社会的に常識がまったく身についていない人でした。
 
なぜ、こんなに手土産一つにこだわるのか。
もう一度言います。
私は、お土産なんて欲しくはないのです。
でも、私が紹介した人には、必ず持って行ってもらわなくては困るのです。
これからお世話になるのです。
紹介する私の顔が立ちません。私の信用が疑われるのです。

物には心はありません。
でも、物に心を込めることはできます。
たかが手土産ですが、人と人の心を繋ぐ大切なものだと信じています。

                        
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〇志賀内泰弘がおよそ30年間、取材、体験を元に書き続けて来た
「ちょっといい話」のアーカイブスです。
ここに集まる「いい話」の主人公に共通するキーワード。
それは、ギブアンドギブ! 「利他の心」です。
忙しい毎日をお送りの皆さんに、日々の生活からちょっぴり途中下車して、志賀内とその仲間(賢人・奇人・変人・達人) たちの「ハートフルな感動物語」をお楽しみいただき、心の癒しにお役に立てたら幸いです。

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